がん治療 副作用とセルフケア

がん治療

抗がん剤治療や放射線治療に伴う副作用を知り、準備しておくことは、体をいたわりながら治療を続けるために大切なことです。がんの治療に伴う副作用の対策は、医療従事者の方と相談しながら進めますが、 生活の中で行うセルフケアも重要な役割を果たします。ここでは、抗がん剤治療や放射線治療の副作用とその対策について説明いたします。

抗がん剤治療

抗がん剤治療には、化学療法、ホルモン療法、分子標的療法、分化誘導療法があり、治療法によって副作用も違います。

化学療法の副作用

化学療法は、化学物質によってがんの増殖を押さえ、がん細胞を破壊するために、活発に増殖する細胞に対して治療効果を及ぼします。 そのため、がん細胞だけでなく、皮膚や腸管、骨髄、毛根(毛母)細胞など、活発に増殖する細胞も影響を受け、これが副作用と呼ばれる症状を起こします。
副作用の起こり方や起こりやすさは、使用する抗がん剤や量、器官によって異なりますが、ある程度予測できるものですので、治療前に確認しておくことも大切です。

化学療法による一般的な副作用には下記のような症状があり、起こる時期もある程度予想が可能です。

治療日アレルギー反応、吐き気、嘔吐、血管痛、発熱、便秘
1週間以内疲れやすさ、だるさ、食欲不振、吐き気、嘔吐、下痢
1~2週間後口内炎、下痢、食欲不振、胃もたれ
3~4週間後脱毛皮膚や爪のトラブル、手足のしびれ、膀胱炎
副作用として上記全ての症状が現れるのではなく、使用する薬剤や個人差によって何がどの程度発症するかは違ってきます。

肝臓や腎臓、骨髄への影響といった検査でわかる副作用もあり、骨髄抑制(白血球減少、貧血、血小板減少)、肝障害、腎障害といった症状は、治療開始後1~4週間後に現れる場合もあります。

ホルモン療法の副作用

ホルモン療法は長期間にわたることが多いので、副作用について治療前にあらかじめ確認しておきましょう。 ホルモン療法の主な副作用は、ほてりやむくみ、体重が増えるなどの症状が起こります。

分子標的治療の副作用

分子標的薬による副作用は、薬の種類によってさまざまです。一般的には 発熱、吐き気、寒気、だるさ、皮膚の発疹などの副作用が現れます。

放射線治療

放射線を当ててがん細胞を破壊してがんを消滅させたり、小さくして治療しますので、放射線を照射する場所によって副作用が異なります。放射線治療の副作用と起こる時期としては、下記の症状があります。
放射線療法による脱毛は、放射線が当たる範囲で見られます。頭部への照射では、部分的に照射した場合はその部分のみ、頭部全体を照射した場合は、頭髪全体が脱毛します。

治療中または終了直後疲労感、だるさ、倦怠感、食欲不振、脱毛、感染しやすくなる、皮膚の変化
半年から数年後二次がんの発生、妊娠や出産への影響

副作用への対策

がんの治療ではさまざまな身体的症状が現れますが、上記に述べている症状が全て発症するわけではありませんし、症状の現れ方にも個人差があります。大切なことは、前もって対処の方法を知っておくことで、症状が出た時の体への負担を軽くできるということです。

ここでは、がんの治療に伴う副作用の対策として、脱毛のケア、爪や皮膚のトラブルケア、口腔ケアを取り上げて説明いたします。予想される副作用について準備をしておきたいと考える方の参考になればと思います。

脱毛

治療開始からヘアスタイルが回復するまで

抗がん剤治療、放射線治療ともに、治療開始から3週間~4週間後(早い場合は2週間後)に脱毛が始まります。放射線治療による脱毛は、照射した部位だけに起こります。

抗がん剤治療(化学療法)の場合は、1~2週程度の治療周期を設定し、それを数回繰り返すことで治療が行われますので、再び髪の毛が生えてくるのは全クールの治療が終了してからとなります。

治療が終了すると、早い人は2ヶ月後頃から、一般的には3~6ヶ月後に再び髪の毛が生えてきます。地毛が伸びてベリーショート程度になるのは、抗がん剤治療の場合、発毛から6ヶ月~1年後、放射線治療の場合、発毛から8ヶ月~1年後となります。

治療開始

ウィッグや帽子を使うのは、脱毛が始まってから地毛が回復するまでの期間となります。帽子などは、脱毛が始まる前に準備しておいたほうがよいでしょう。

ウィッグを使う場合は、髪型の写真を前後左右から撮っておくと、印象を確認しやすいのでおすすめです。治療前の髪型を再現しようとするよりも、毛量、髪色、質感、長さなどが自分に合っていると思えるものを選びましょう。外から見た印象と、実際に着けたときのイメージが異なる場合がありますので、必ず試着してから決めるようにしてください。

脱毛に向けての準備

脱毛中は頭皮も敏感になるため、髪を洗う時に傷つけることがないよう爪を短くしておくと安心です。 髪の長さは、短くしておくと脱毛中に髪が絡まるのを防ぐことができます。あまり短いと 洋服や枕に入り込んでしまうこともありますので、扱いやすい長さはあったほうが良いでしょう。

脱毛がはじまったら

髪の抜け方や量は、使用している薬剤の種類や髪質、量、太さなどによって異なります。 脱毛が始まると、一般的には数日の間に抜け落ちてしまうので、覚悟をしていても精神的な衝撃を受けるかもしれません。予想される副作用について、治療が始まる前に心の準備をしておくことは、体への負担を減らし、治療中の過ごしやすさにつながります。治療を生活の中にどう取り込んでいくか、何を大事に過ごしたいかなどを一つ一つ考えていきましょう。

抜けた髪を扱いやすくする方法として、ロングヘアの方は、脱毛が始まる前に、可能であれば、ショートヘアにしておくことをおすすめします。また、洗髪時には髪が抜けやすいため、使い捨ての排水口ネットを使うなどすると、抜けた髪を簡単に処理できます。

脱毛が始まると、髪を洗うのが怖いと感じるかもしれませんが、頭皮に残った皮脂や汗などが刺激となり炎症の原因となることもありますので、きちんと髪を洗い、清潔を保つことはとても大切です。

ヘアキャップ

使い捨てのヘアキャップを使うと、就寝時や調理の際などに髪の毛が落ちるのを防げます。キャッチした髪ごと捨てることができますので、手軽に使えます。

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シャンプー

シャンプーは、使ってみて違和感(ピリピリした刺激など)がなければ、治療前から使っているものを 使用することができます。 洗髪時に痛みを感じたり、しみたりするときには、シャンプーを使わずにお湯だけで洗ってもよいでしょう。

脱毛中は洗い方が重要

洗髪の前にブラシをかけ、抜け毛を軽く取り除いておきましょう。かたいブラシは頭皮に刺激を与えてしまうので、柔らかいタッチのブラシを使用します。抜け毛がからまらないよう、ブラシの目は、粗いものがおすすめです。

シャンプーの前にぬるま湯で髪をすすぎ、汗やほこりなどの汚れを水流でしっかり洗い流します。次に、シャンプーを手で細かくよく泡立てます。洗顔用のネットなどを使って泡立てても良いでしょう。泡を頭と髪にのせるようにして、爪をたてずに指のはらでゆっくりていねいに洗いましょう。泡で出てくるシャンプーを使用すると、泡立てが不要です。

シャンプーの後は、十分にすすぎます。リンスやトリートメントは、頭皮につかないよう毛先になじませる程度にしましょう。洗髪後は、タオルで軽く押さえて水分を吸収させます。ドライヤーを使用するときは、低温・弱風または冷風にしましょう。

脱毛したら、それまでよりもシャンプーの量は少なくします。頭皮も皮膚の一部ですので、清潔と保湿、保護が大切です。ウィッグや帽子をかぶることで汗をかいたりしますので、泡立てたシャンプーでやさしく洗い、地肌に残らないようよく洗い流しましょう。

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脱毛している期間

ぼうし

治療中は頭皮が敏感になっていますので、肌当たりの良い柔らかい素材で作られているものや、縫い目が当たらない無縫製のぼうしなどがおすすめです。外出時にはつばのあるタイプ、就寝時は薄い素材のものを選ぶなど用途に合わせて使い分けることもできます。

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マスクやサングラス

治療による脱毛の影響を受けるのは、髪の毛だけではありません。まつ毛が脱毛すると目にゴミが入りやすくなりますので、メガネやサングラスで目を保護しましょう。

鼻の粘膜が影響を受けて鼻毛が脱毛した場合は、ほこりが入ったり鼻が乾燥しやすくなりますので、 マスクをしてほこりや乾燥を防ぐようにしましょう。

ウィッグ

ウィッグを着用することで、髪の長さや髪型などを好みのスタイルにすることができます。 ウィッグには、人毛、人工毛、人毛と人工毛をミックスしたものがあり、値段も数千円から 数十万円までとかなり幅があります。 実際にかぶってみると印象が違う場合もありますので、かぶり心地やサイズ感を確かめるためにも 試着してから購入することをおすすめします。

治療中は育毛剤を使用しない

少しでも早く再び髪が生えるように、育毛剤を使用したいと考える方もいらっしゃると思いますが、抗がん剤治療中に育毛剤を使用すると、毛根にダメージを与えて、かえって毛が生えにくくなってしまいます。 抗がん剤の投与が終わっても、体に薬が残っている期間は、育毛剤の使用を控えましょう。

同じ理由で、治療中に頭皮マッサージを行うと血行を促進して、かえって抗がん剤が効いてしまいますので、治療中は行わないようにしましょう。

脱毛期間に頭皮がかゆくなったときは、かかずにタオルで冷やすようにしましょう。

治療終了後

個人差がありますが、治療が終了したら早い人は2ヶ月後くらいから、一般的には3~6ヶ月後くらいから 再び髪の毛が生えてきます。生え始めは産毛のようなやわらかい毛です。その後で生えてくる髪の毛は、 もとの髪質(太さ、色、くせなど)とは異なる髪質になることがあります。

育毛剤、頭皮マッサージ

抗がん剤治療の場合、治療が終了して2ヶ月程度経過したら、育毛剤の使用や頭皮マッサージを行うことが可能です。育毛剤を必ずしも使用しないといけないということではなく、治療後の発毛をスムーズにするためには、頭皮の血行を促進することが一番重要です。

軽い運動などを行うことも、頭皮を含めた全身の血流の改善につながります。また、ストレスを感じてしまうと自律神経のバランスが崩れ、交感神経や優位になり血管を収縮させてしまいますので、できる限りストレスを感じない環境で、ゆったりと過ごすように心掛けましょう。

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ヘアスタイルの回復

脱毛前の状態に戻るのには、治療終了から1年くらいかかります。再発毛した髪の毛は、くせ毛や縮れ毛など、治療前とは違う髪質で生えてくる場合もあります。

治療後に生えてきた髪をカラーリングしたい場合は、医療従事者の方に相談してから行うようにしましょう。安全にカラーリングを行う目安としては、治療終了から一年後とされています。治療後の頭皮は、刺激に敏感になっていますので、できるだけ地肌に染料がつかないよう、ついたとしても短時間になるよう注意してください。

口内炎

抗がん剤治療では、口内炎や食べ物の味を感じにくくなったり、違う味に感じてしまう味覚障害などの症状がでる場合があります。放射線治療では、口の周囲に放射線が当たると強い口内炎ができたり、治療の影響で唾液腺が萎縮して唾液が出にくくなり口の中が乾燥することがあります。

こういった時は、口の中に痛みがあったり体力が落ちていたりして、歯磨きをしたり、うがいをしたりするのがつらく感じられるかもしれません。しかし、口の中を清潔にすることは、感染予防のためにも大切です。食事は粘膜を刺激しないように、かたいものや熱いもの、香辛料、アルコールなどの刺激物は避けましょう。

口内炎の症状は、症状の出方にも個人差があります。無理して我慢せず、医療従事者の方と相談しながら対処していくことをおすすめします。

うがい

こまめにうがいをすると、乾燥を防ぐとともに、感染の予防になります。水やぬるま湯、または生理食塩水(水500mlに食塩小さじ1弱の濃度)でうがいを行いましょう。口の中の乾燥がきになる場合は、口腔内を保湿するジェルもあります。

歯みがき

歯みがきは、やわらかいナイロン製で、ヘッドが小さく毛先が平らにカットされたものを使いましょう。歯みがき剤がしみたり痛く感じたりするようであれば、発泡剤を使わない低刺激性の歯みがき剤を使ったり、歯みがき剤は使わずに水だけで磨くこともできます。

口が乾燥している時は、歯みがき前に口をゆすいだり、唇に保湿剤を塗ったりするなど、口を湿らせてから歯みがきをします。吐き気がある時は、食後でなくてもいいので、気分の良い時に行いましょう。洗口液や液体歯磨き剤でアルコールを含んでいるものは、粘膜を刺激するため、使用を控えたほうが良いと言われています。

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口腔ケア用スポンジブラシ

スポンジブラシを使う場合は、スポンジ部分に少量の水を含ませ、しっかり絞ってから使います。スポンジ部分で、歯や、歯茎の外・内側、舌の汚れを拭き取ることで、口の中をきれいにします。口腔の奥からくるくると転がしながら手前にこすり出すようにすると、汚れを効果的に取り除けます。

皮膚障害の対策

抗がん剤の投与により皮膚や爪の新陳代謝を行う細胞がダメージを受けた場合、皮膚の色素沈着や乾燥といった症状が起こります。皮膚のバリア機能も低下しますので、紫外線や乾燥といった外部からの影響を受けやすくなり、肌荒れやかゆみといった症状がでる場合もあります。

皮膚トラブルを起こしやすい抗がん剤を使う場合は、早い段階からしっかりとしたスキンケアに取り組むことが大切です。スキンケアの基本は、清潔・保護・保湿です。肌の汚れは、肌への刺激となりますので低刺激の洗浄料で肌の清潔を保ちます。紫外線や摩擦といった外部刺激から肌を保護するため、日焼け止めや腕カバーなどを使うことも有効です。乾燥は、肌のバリア機能を低下させますので、保湿剤で肌に水分を補給します。

洗浄

皮膚や爪が汚れていると、それ自体が皮膚への刺激になり症状が悪化しやすくなります。爪や肌が汚れたら、刺激の少ない弱酸性・無香料の洗浄料でやさしく洗いましょう。泡の洗浄料はこすらずに汚れを落とすことができ、お肌への負担を減らせます。

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保護

紫外線も皮膚には刺激となります。外出するときは日焼け止めクリームを塗り、帽子や日傘、長袖の上着を羽織ったりUV加工の手袋をしましょう。治療中で敏感になっている肌には、縫い目が直接に当たりにくい衣類や、着心地のよいやわらかな素材のものを選びましょう。

保湿

皮膚が乾燥すると症状が悪化しますので、保湿をこまめに行い、皮膚のバリア機能を保つことが大切です。保湿ローションはサラッとした使用感で伸びがよいため、全身に塗りやすい保湿剤です。

お風呂は、熱いお湯に長時間浸かると、皮脂や角層内の保湿成分が流れ出てしまい、かえって肌が乾燥してしまうことがあります。入浴はぬるま湯で、長風呂にならないように気をつけましょう。入浴後は、肌をこすらずに水分をおさえるように拭き、皮膚がしっとりしているうちに保湿剤を塗ると効果的です。

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爪のケア

抗がん剤によって爪の細胞が影響を受け爪に症状が現れるのは、治療開始から3週間~27週間後と幅広く、症状の現れ方も多様です。爪に現れる症状としては、黒っぽく変色したり、薄く脆く割れやすくなったりするほか、爪の周りが炎症を起こしたりするなどがあります。治療によって症状は異なりますので、医療従事者の方に相談しながら対処していきましょう。

爪の症状は、治療が終わっても回復までに時間がかかります。爪の保護や指先の保湿は、爪が元の状態に回復するまで続けましょう。

爪の保護と保湿

指先や爪が乾燥していると、抗がん剤の影響で薄くなった部分がもろくなり割れやすくなります。手洗い後や入浴後は、ハンドクリームや保湿剤を塗って乾燥させないようにしましょう。

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爪を補強する保護コートや、指先の乾燥を予防するための保湿オイルもあります。爪が脆くなっている時は、爪やすりを使うと爪に負担をかけずに形を整えることができます。

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マニキュア

爪が変色したり、横線が現れたりした場合は、マニキュアを使って目立たなくすることができます。マニキュアを使う場合は、治療中の爪は刺激に弱い状態なので、できるだけ刺激の少ないものを選ぶようにしましょう。

酢酸エチルや酢酸ブチルといった有機溶剤が使用されているマニキュアは、アセトンを含む除光液で除去する必要があります。除光液を使うと爪が乾燥しますので、剥離などがおきやすくなり、爪に対する負担は大きくなります。

そこで、刺激のある有機溶剤を含まず、除光液を使わずに落とせる水溶性マニキュア(水溶性ネイル)がおすすめです。水溶性マニキュアは、除光液などの溶剤を使用しなくても、お湯や消毒用アルコールで落とすことができ、 爪やお肌への負担が少ないのが特徴です。

胡粉ネイル

ホタテ貝殻の微粉末から作られた顔料を使用したマニキュアです。有機溶剤を使用していない水溶性マニキュアで、消毒用アルコールで落とすことができます。

ビオウォーターネイル(BIOウォーターネイル)

水を主成分とする刺激の少ないマニキュアです。有機溶剤を含まず、消毒用アルコールで落とすことができます。

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