どうする?ストーマ装具からの漏れ

ストーマ

ストーマ装具から漏れてしまう…
ずっとストーマ装具を使ってきたのに、ある日突然、漏れるようになると「どうしていいかわからない…」と困ってしまう方も多いのではないでしょうか。

ストーマ装具からの漏れには原因があり、原因を解決しないと漏れのトラブルは繰り返されます。漏れのトラブルが続くとストーマ装具を貼る皮膚が荒れてしまい、症状が悪化するとストーマ装具が貼れなくなることもありますので、そうなる前の対策が大切です。

ここでは、ストーマ装具からの漏れが発生する一般的な原因と対策をまとめることで、問題を整理するきっかけにしていただきたいと考えています。ストーマ装具からの漏れの問題は、ストーマケアの専門知識を必要とする場合が多くあります。漏れのトラブルが改善されない場合は、早めに病院のストーマ外来や医療従事者に相談してください。

ストーマの漏れの原因と対策

ストーマ装具から排泄物が漏れる原因としては、面板と皮膚の間に隙間がある、皮膚の表面に水分が残っている、ストーマに高さがない場合などがあげられます。

その他の原因としては、ストーマが腰骨の近くにある方や痩せている方の場合、面板がストーマ周囲の皮膚の動きに追従できず浮いてしまうことがあります。スポーツや激しい動きによっても、面板が浮いて縁から剥がれやすくなることがあります。また、パウチの中の排泄物の重みや、排泄物や排ガス(消化器ストーマの場合)が一度に出た場合も、面板が外れやすくなって漏れることがあります。

面板と皮膚の間に隙間がある

お腹にシワがあったり、ストーマの周りがくぼんでいたりする場合、シワやくぼみの上から面板を貼ってしまうと隙間ができます。面板は水分を吸収すると徐々に溶けていく素材で作られていますので、隙間に入り込んだ排泄物の水分によって、面板は溶けていきます。面板の粘着面が小さくなったり、溶けた部分が広がると排泄物が面板の下から漏れてしまうことになります。

面板の貼り方を工夫する

面板の貼り方を工夫することで、シワが寄らないように面板を貼ることができます。前かがみの姿勢でストーマ装具を貼るとお腹にシワができやすくなりますので、面板を貼る時は、鏡を見ながら貼ったり、皮膚をピンと張りながら貼るなど、隙間を作らないように面板を貼りましょう。

面板をしっかりと密着させるポイントは、最初にストーマの周りをしっかり押さえることです。まず、ストーマの周りをしっかり密着させ、そのあとで、外周に向かって空気を抜くように押さえていきます。最後に、全体を手のひらで軽く押さえて、5分程度しっかりとなじませましょう。ドライヤーなどを使って高温で温めてはいけませんので、注意してください。

皮膚保護剤で隙間を埋める

ストーマの近くにおへそがあったり、ストーマの周りがへこんでいる時は、くぼんでいる部分に皮膚保護剤を充填し、隙間をなくして面板を貼ります。「皮膚保護シール」は、粘土のように自在に形をつくることができる皮膚保護剤で、隙間を埋めて面板の密着度を高めます。使用する場合は、医療従事者に使い方をご確認ください。

皮膚の表面に水分が残っている

皮膚の表面に水分があると、面板の密着が妨げられます。

よく乾かしてから貼る

皮膚の表面に水分が残っていると面板の密着度は低くなります。ストーマの周囲を洗浄した場合は、皮膚表面をよく乾かし、水分が残っていないか確認してから面板を貼りましょう。

水分をパウダーで吸収させる

面板を貼っている皮膚が荒れていると、滲出液がでて面板の貼り付きが悪くなることがあります。ストーマケア用のパウダー(粉状皮膚保護剤)は、皮膚表面の水分を吸収して、面板の密着度を上げることができます。

ストーマに高さがない場合

ストーマに高さがないと、排泄物が面板の下に入り込みやすくなります。皮膚からストーマの排泄口までの高さを測った時に、ストーマの高さが1cm未満の場合は、排泄物が面板の下に潜り込んでいないか確認しましょう。

ストーマの高さがない場合は、凸型の面板を使用することでストーマ装具の密着度を上げ、排泄物の潜り込み防ぐ方法が考えられますが、ストーマ装具の変更が必要となる場合もあります。ストーマ外来や医療従事者に相談されることをおすすめします。

面板の密着度を増す工夫

面板を少しだけ温める

気温が低い時は、面板が固くなり肌になじみにくくなることがあります。面板は、少し温めるとやわらかくなりますので、手のひらでしばらく挟んで温めてから貼ると密着度は上がります。別の方法としては、体温程度の温かい濡れタオルをビニール袋などに入れて準備しておき、面板を貼った後、ストーマ装具の上からしばらく押し当てて肌になじませるのも良いでしょう。

肌を保湿する

お腹の皮膚が乾燥していて、面板がしっかり貼りつかない場合、保湿剤で肌を保湿しましょう。保湿剤を塗った後は、よく乾燥させるか、ティッシュなどで軽く押さえ拭きしてから面板を貼りましょう。油分の多いクリーム状の保湿剤は、ストーマ装具の密着を妨げますので注意しましょう。

なぜ漏れるようになったのか?

ストーマ装具から漏れる原因には、いろいろな原因があります。急に漏れるようになった場合は、何か変化がなかったかを振り返ってみることをおすすめします。

体型の変化

問題なく使っていたストーマ装具も、体型が変化すると合わなくなることがあります。痩せて体型が変わったり、反対にお腹が出てきたりといった変化はありませんでしたか?問題なく使っていたストーマ装具も、体型が変化すると合わなくなることがあります。体重や体形に変化がなかったか確認してみましょう。

体調の変化

排泄物の量が増えたり、下痢で排泄物の水分量が増えると、面板が溶けるスピードが早くなることがあります。便の性状(下痢・水様便)や排泄量が変化した場合は、いつもの交換間隔より早めに交換してみましょう。
また、体調の変化が排泄物の状態に影響を及ぼしているかどうかを確認し、体調管理を見直してみましょう。

環境の変化

退院後、ストーマ装具を使用する環境が変わると、ストーマケアのやり方も変化することがあります。ストーマ装具を交換する姿勢が、寝ている状態から座った状態に変わったり、ストーマ装具の交換を自分で行うようになると、前傾姿勢になってお腹にシワがよりやすくなることもあるので注意が必要です。退院前に、自宅で交換する方法を確認しておくことも大切です。

また、気温が高い場合は発汗量も多くなり、面板の溶けが早くなることもあります。
気温の高い季節やよく汗をかいた日などは、面板がいつもより溶け進んでいる可能性がありますので、交換の間隔を早めてみることもおすすめです。

ストーマのサイズ変化

ストーマ造設後、6~8週間でストーマのサイズは徐々に小さくなります。
ストーマと面板の孔との間の間隔は、2mm程度が適当と言われています。面板の孔が大きすぎると排泄物が皮膚に触れる部分が多くなり、皮膚が荒れてしまうことがあります。

反対に、面板の孔が小さすぎる場合は、ストーマが擦れて出血したり滲出液が出て、面板の粘着が弱まる原因になります。

ストーマと面板の孔のサイズが合っていないのではと思われた場合は、ストーマケアの見直しをするためにも、ストーマ外来や医療従事者に相談されることをおすすめします。
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お腹の形の変化

ストーマ造設後、ストーマ周囲の皮膚が隆起し、ヘルニア(ストーマ傍ヘルニア)と呼ばれる状態になることがあります。これは、ストーマを造設する際に腹直筋の筋膜に開けた孔から腸が押し出されて、筋膜と皮膚との間に入り込んでしまうことによって起こります。原因としては、術後の体重増加によりお腹の圧力が高くなった場合や、加齢により腹直筋が弱くなった場合などが考えられます。

押し出された腸によってストーマ周囲の皮膚が膨らみ、お腹の形が変わります。ヘルニアの程度よっては、お腹の形をヘルニア専用のベルトや腹帯で補正することもできます。腹帯やベルトでストーマを圧迫する可能性がありますので、体に合った適切な製品を選びましょう。ヘルニアかな?と思ったら、自己判断はせず、医療機関やストーマ外来のある病院に相談し、診断を受けてください。

医療機関への早めの相談が重要

ストーマ装具からの漏れのトラブルは、そのうちなんとかなると我慢したり、どうしていいかわからなくて放置してしまう、ということがあるかもしれません。しかし、漏れのトラブルが続くと、肌が荒れてストーマ装具が貼れなくなる場合もあります。ストーマのケアを見直しても、漏れのトラブルが改善されない場合は、早めに病院やストーマ外来に相談することが、トラブルを長引かせないためにも重要です。

ストーマに高さがない、ストーマの周囲に深いしわやくぼみがある、腹部が下垂しているなど、ストーマ装具から漏れが発生する問題は、複数の原因が重なっていて、ストーマの専門知識がないと解決が難しい場合も多くあります。

ストーマ装具が合っていないのかも、と思ったときも同様です。ストーマ装具は、お腹に貼って使うため、皮膚保護剤の成分が皮膚に合っていることが重要です。ストーマ装具の変更は、皮膚保護剤や装具の形状の変化を伴いますので、病院やストーマ外来に相談した上で行いましょう。

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